シビレビト発見伝

長野県へUターンし建築業界からIT業界へ。場所に縛られない多拠点生活

長野県でIT企業を経営/佐藤 駿さん

THE APP BASE株式会社 代表取締役

佐藤 駿さん(32歳・既婚男性・3姉妹のパパ)

東京の建築系の会社で働いていた佐藤さん。東日本大震災を機に働き方を変え、IT業界へ足を踏み入れた。起業と同時に長野県へUターン。

現在は、
THE APP BASE株式会社の代表取締役
・長野県伊那市のコワーキングスペース「Social coworking DEN」のオーナー
・WEBマガジン「THINK FUTURE」編集長
などを務める

【居住地の変遷】
長野県で生まれる

東京の中央工学校(建築設計科)へ進学。その後、建築系の会社へ入社

長野県へUターンし、IT企業を経営。都心で仕事をすることも多く、多拠点で活動中

東日本大震災をきっかけに、場所に縛られずに生きていくことを決意

Q.現在のお仕事内容や働き方を教えてください。

A.デザインファーム「THE APP BASE」の経営をはじめとして、コワーキングスペースやWEBメディアの運営等も行っています。

THE APP BASEに関しては、設立当初からアプリ開発を行ってきました。最近では、日本で唯一のDIY専用アプリ「HANDIY(ハンディ)」を開発しています。
また、近年はWEBサイトやスマホアプリのUI/UXデザインや新規事業立ち上げのお手伝いをさせていただくことが増えました。リノベーションデザインや、ライフスタイルデザインの企画事業も行っています。

長野のコワーキングスペースが主な拠点ですが、東京・福岡などの都心で仕事をしていることも多いですね。

Q.元々は東京の建築系の会社で働いていた佐藤さん。なぜ地元でIT企業を起こそうと思ったのですか?

A.東京での会社員生活は慌ただしいものでしたが、震災前は特に不自由を感じていませんでした。しかし、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、価値観が大きく変わったんです。

建築現場がストップしている様子や、情報が錯綜してパニックに陥っている東京を目の当たりにして、不安が募りました。

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Q.起業と同時にコワーキングスペースを開業されたのはなぜでしょうか?

A.東京でのコワーキングスペースの取り組みに感銘を受け、地方でもクリエイターや起業家たちが交流できる場があればいいのでは、と思って作りました。

実際、コワーキングスペースでは様々な分野のプロたちと出会うことができます。自分があまり知らない分野に関する意見をいただくことも珍しくありません。プロジェクトチームも組みやすいです。

忌憚ない意見を交換しやすく、仕事の幅が広がりやすいですね。

弊社の社員や、一緒にお仕事をさせていただいている仲間たちと出会ったのも、このコワーキングスペースでした。仕事ぶりや人となり等、履歴書ではわからない部分も知ったうえで一緒にやっていますから、業務がスムーズに運びやすいですし、安心感もありますね。

Q.佐藤さんが“多拠点生活”をしている理由を教えてください。

A. インターネット関連、デザイン関連のお仕事はどうしても都心のほうが多いため、打ち合わせをするためには都心に出向く必要があります。

スカイプなどを使えばオンラインで会議をすることも可能ではありますが、対面しているときよりもコミュニケーションの質が落ちてしまうと思うんです。

良質なアイデアを生み出し、的確なご提案をするためには、実際に顔を合わせて話し合うことが重要だと考えています。

それに、多拠点生活にはメリットもあるんですよ。

例えば、東京には最新の情報がたくさん集まります。行けばインプットが多くなりますし、さまざまなアイデアが湧いてくるんです。

一方、自然豊かな長野は、心が豊かになりやすく、落ちついてアウトプットする環境に向いています。

都心には都心の良さ。地方には地方の良さがある。複数の拠点を持つことで、自分の引き出しが増え、クオリティの高い仕事が出来ると思います。

Q.Uターンをして、プライベートについてはどう変わりましたか?

東京にいたころよりも通勤時間が短くなった分、プライベートにかけられる時間も増えました。

家族と過ごしたり、友人たちと趣味の将棋を指したり……。心に余裕が生まれるので、満たされた気持ちになります。

読書の時間やイベントに参加する時間等もとれているので、良質なアウトプットを生み出すことにつながっていますね。

 

自分にとっての“幸せ”は何なのか。それを見極めれば自ずと住む場所が見える

Q.地方移住を検討している人たちに、アドバイスをお願いします。

A.今は自由に働く場所や職種を変えることができる時代です。実際、私も建築業界からIT業界へ移り、多拠点生活を送っています。

インターネットインフラは充実してきていますし、コワーキングスペースを利用して様々な仲間たちと出会うことも可能。クラウドソーシングサービスを使えば、世界中の人たちに仕事を依頼することだってできます。今の生活に違和感があるなら、働き方を変えることが可能なんです。

でも、生き方のモノサシはひとつではありません。自分自身の思い描く「理想の未来」が先にあって、その未来を実現するために、「どこで働くか」を選択するべき。

私自身の心を最も豊かにしてくれるのは、「家族との時間」です。でも、人によって“幸せ”や“豊かさ”を左右するものは違うはず。

東京にいることが幸せな人もいれば、地方にいることが幸せな人もいます。決断する前に、自分自身の価値観をよく見つめ直すことが重要ではないでしょうか。