インタビュー

幼いころに見た中小企業の苦労をなくしていく―― freeeのCTOが描く未来予想図

freee株式会社

freee創業者のひとりであるCTO・横路隆。実家がスモールビジネスを営んでいたため、彼は幼いころから両親が休日までもバックオフィス業務に追われている背中を見てきました。中小企業の業務負担を軽減したいという想いを抱いた横路は、代表取締役の佐々木大輔とともに会計ソフトを開発。そんな彼が、freeeとともに歩んできた道のりに迫ります。
※本記事はPR Tableで掲載された内容を一部修正・転載したものです

コンピュータに興味を持ったきっかけは、シンセサイザーでの音作り

――振り返ってみれば、少年時代から熱中しはじめるとどこまでも追究しなければ気が済まない“たち”だった。

横路隆の生まれは、プログラミング言語「Ruby」で有名な島根県松江市。彼は高校生まで松江で過ごしました。

好奇心が強く、幼い頃から百科事典や辞書を読み耽っていた横路。得意な科目は数学で、難関のコンテストで何度も入賞するほど熱中していました。

横路 「『大学への数学』という月刊雑誌があって、コンテストに応募できるんです。高校レベルの知識で解ける難しい問題が出るんですが、学校の先生と『今月は僕の勝ちですね』とか言いながら競い合っていました(笑)。極めたがりなんですよね」

熱中したのは学業だけではありません。幼少期からエレクトーンを習っていた横路は、中学生のときから電子音楽に傾倒します。

横路 「当時の松江では電子音楽やクラブ音楽を聴く機会はあまりなかったのですが、インターネットで動画などを見て『面白いな』と。シンセサイザーを買ってもらって、波形を見ながら自分で音やトラックを作っていました」

音作りに熱中するうちに「コンピュータで音を表現するのって面白いな」と思うようになり、大学でも音楽活動を続けながらコンピュータ関連の勉強をすることにしました。

横路 「バンドを13個掛け持ちして、ライブに出ていたこともありました。30時間連続でスタジオにこもっていたこともあります(笑)」

相変わらずとことん突き詰める横路。テレビに出演し、有名なミュージシャンと共演したことも。音楽でプロの道に進むという選択肢もありましたが、コンピュータの魅力にもとりつかれていきます。

横路「音楽がきっかけでコンピュータをはじめたんですが、だんだんコンピュータのほうが面白くなってきたんです。インターネットの仕組みとか、コンピュータを動かす1個1個のチップとか。
在学中にインターンで中小企業のシステム開発に携わった影響も大きいと思います。最初はお金が欲しくてアルバイトをはじめたのですが、地方銀行向けのアプリケーションを作っているうちに、BtoBビジネスにも興味が湧きました」

技術者として生きていくことを決めた。日本で就職するなら、上流から下流まで垂直統合でものづくりをしているメーカーが面白そう――。そう感じた彼は、2010年にソニーに入社しました。

「現実にある課題を解決したい」という想い。佐々木との出会いから創業まで

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社内懇親会にて。中央が代表・佐々木、右端が横路

ソニー時代はカメラの開発に従事します。忙しい日々が続くなかでも、始業前に同期で技術関連の本を読み合わせる会を開くなど、技術スキルの研鑽は怠りませんでした。

横路 「定期的にボトムアップで会社に新しい技術を提案できる場もありました。
そこで、みんなのカメラを持ち寄ってつなぐと、みんなの写真や動画の時刻や位置情報から自動的にひとつの動画が作れて簡単に共有できる機能を開発したりして、やりがいはありました。
ただ、当時やっていたのは『生活を豊かにする』ための技術。カメラは今後世の中を変えていく可能性をたくさん秘めた製品だと思いますが、私のなかでは『今現実にある課題を解決したい』という思いがありました」

何か新しいチャレンジができないだろうか――。働きながらも横路はずっと機会を探していました。そんなとき、同僚を通じて知り合ったのが、freee株式会社の創業者であり、代表取締役の佐々木大輔です。

横路 「佐々木のなかには既に、中小企業を支援するためのサービスの構想があり、あとはエンジニアがいれば……という状況でした。
彼の実家は美容院で、私の実家はお菓子屋さん。お互いに両親がスモールビジネスを営んでいることもあって、すぐに意気投合しました。幼い頃から、親がバックオフィスで大変な思いをする姿を見てきていますからね」

彼らが出会ったのが2012年の4月。1ヶ月後のGWには、数人のエンジニアも交えて会計ソフトのプロトタイプ開発をはじめていました。

横路 「そのとき作ったのは、今ある会計プロダクトのなかでも『請求書を発行すると勝手に仕訳が作られつつ請求書がPDF化される』という部分だけ。それを2日で作りました。
佐々木は当時プログラミングの経験はほぼなかったのですが、GWまでの1ヶ月後の間に猛勉強して、相当プログラミングができるようになっていて。『本気だな』と思いましたよ」

それから2ヶ月後には横路は会社を辞め、佐々木とともに創業。先行きの不安はなかったといいますが、創業時はどのような様子だったのでしょうか?

横路 「創業直後は、集中できる環境づくりからはじまりました。佐々木は引っ越し屋のバイトの経験があったのですが、突然車に乗ってやってきて『3時間だけハイエースを借りたから、これで引っ越す』って(笑)。手伝ってもらいつつ近くに引っ越して、すぐに佐々木のマンションで缶詰状態で開発をはじめました。
当時は、朝の9時半から深夜3時くらいまで開発をしていても、若かったので体力的には大丈夫だったんです。でも、リリースに時間がかかってしまったのは失敗でした」

2012年7月に創業したふたりでしたが、最初のリリースは翌年3月19日。個人事業主が確定申告をするのは2月16日~3月15日頃なので、その時期に間に合わせることができませんでした。

当時開発した機能は決して無駄ではなく、そのほとんどは2017年現在も使われているもの。でも、マンパワーが足りないなかで「あれもほしい、これもほしい」とこだわりすぎてしまった、と横路は振り返ります。

サービスは、小さくはじめてから改良すればいい――。

創業当時の反省を活かし、freeeは「より早く、より良いものを届ける」という考えで新しいサービスにチャレンジし続けています。

会社設立が、飲み会の幹事をするのと同じくらい簡単にできる世の中へ

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横路 「候補日をあげてURLを送るだけで、飲み会の日程調整ができるツールがありますよね。会社設立、開業という作業が飲み会の幹事をするのと同じくらい簡単にできる世の中はすでにすぐそこまで来ていると思っています」

もっともっと起業やバックオフィス業務のハードルを下げ、中小企業が創造的なビジネスにフォーカスできる世界を作りたい――。横路の頭の中に描かれる未来は、決して実現不可能なものではありません。

freeeはクラウド給与計算、クラウド会計の分野で国内シェアNo.1(*)。しかし、サービスがたくさんの人・企業に利用されるにつれ、利用者のニーズは多様化していきます。

上場企業向けのプラン(エンタープライズプラン)をリリースし、監査にも対応できるようにする。インターネットバンキングを経由しなくてもfreee上で銀行振り込みができるようにする。AI(人工知能)ラボを立ち上げ、より便利な機能を実装する、高度な異常検知をする――。このように、絶えることなく新しい取り組みを続けていきます。

横路 「金融機関にもスモールビジネスの顧客データはありますが、ひとつの金融機関だけにお金を預けるケースは少ないし、リアルタイムにビジネスの状況を把握しているわけでもないので、顧客の未来の状況予測を正確に行うことは難しい。それに、財務レポートを読んでも一社一社の状況しかわからず、企業同士の横のつながりはわかりません。

一方、freeeを使って業務を効率化していると、取引先を含めすべての情報を入れますから、freeeには質の高いデータがあるんです。しかも、リアルタイムの。このデータを使って未来の財務を精度高く予測することもできるし、どの会社とどの会社がつながっているかもわかる。こういったおもしろいデータを使って小さいビジネスこそ強くて大きな価値を生み出せる社会をつくっていきたいですね。

クラウドというのは、ひとつのサーバーを仮想化してみんなでシェアすることで、高度なIT技術を駆使したシステムづくりのハードルが下がり、そこから多くのイノベーションが起きてきたわけです。10年、20年後にはヒト・モノ・カネというビジネスリソースもその多くが仮想化され、志さえあればマンパワー、資金力の格差を気にせずにものごとを実現できる世界がやってくるのではないかと思います」(*)クラウド給与計算は2016年3月、クラウド会計は2017 年9月MM総研調べ参照。

第二創業期を迎えているfreee。「本当に価値のある」開発に携われる魅力

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チームメンバーとオフィスにて

2017年現在、規模が拡大していくなかで、「第二創業期」を迎えているfreee。大阪拠点の立ち上げも控えています。エンジニアにとってfreeeにはどんな魅力があるのでしょうか。

横路 「たとえば、プロダクトチームはカスタマーサポートとエンジニアが同じチーム内で協働しています。エンジニア向け制度として、自分で開発したサービスについて、一時的にカスタマーサポートに留学して担当できるようにしています。エンジニア自身が直ぐにお客様からフィードバックを受けられるのはプラスになりますね。
あとは、『本当に世の中にとって価値がある』と信じられるものを作れるのはエンジニアにとって幸せなことでしょう。
大阪拠点を作るのは、freeeにとってもチャレンジです。地理的な制約なく仕事ができるよう、色々と取り組んでいきたいと思っています。エンジニアの方には、スタートアップの立ち上げに参画するつもりで来ていただきたいですね」

freeeでは、新しいプロジェクトを開始するときに希望者を公募するようにしています。また、「巨匠制度」といって、投票で選ばれたエンジニアのスペシャリストが自由に開発ができる期間を与えられるという取り組みも。

弁当・飲み物が提供される、副業OK、部活動があるなど、ユニークな福利厚生制度も多い。社員の柔軟な働き方にも理解があり、横路自身も育児休業取得を予定しています。

横路 「過去には社長の佐々木やほかのエンジニアも何人か育休を取得しました。『誰かひとりがいないと仕事が回らない』という状態は組織にとって大問題。こういった制度は上の者が率先して利用したほうがいいとも思っています」

はじめは佐々木と横路のふたりだけだったfreeeですが、5年(2012〜2017年)で400人にまで増え、今後も新しい人材を迎えて規模を拡大していきます。

数年後、数十年後、さらに豊かで便利な未来にすべく、これからもfreeeはイノベーションを起こし続けます。

Text by PR Table