インタビュー記事

山で暮らし、生業をつくる。地縁のない山形で生み出す新しいシゴト

東北シゴト創造大学vol1.インタビュー:大鳥てんご 山のめぐみと民俗と人 管理人 田口比呂貴

大鳥てんご 山のめぐみと民俗と人 管理人 田口比呂貴

大阪出身。東京でメーカー営業を2年勤めたのちに2013年から地域おこし協力隊として山形県鶴岡市大鳥に移住。任期後も定住し、フリーで活動。自然体験学習のサポートや野良仕事、事務などの地域の仕事を幾つか担いつつ、民俗調査、マタギ見習い、山菜/茸の通販&Webメディア”大鳥てんご”に取り組んでいる。2016年に民俗誌『大鳥の輪郭』を刊行。

山での暮らしに興味を持った経緯

大学を出て関東の電子部品メーカーで営業マンをしていましたが、社会人2年目の大型ゴールデンウィークにヒッチハイクをしたんです。その時に乗せてくれたおじいちゃんが、京都に山小屋を持っていて、興味を持ったのでついて行ってみました。そしたら本当に針葉樹が生い茂っているようなところで、裏山には蕨やタケノコが生えていて。「一緒に取りに行くか」なんて言ってタケノコを取って、自宅の七輪であく抜きをして食べました。
その時の体験が衝撃的だったんです。大阪で暮らしていたので、小さいときはお小遣いをもらって駄菓子屋へ行ってお菓子を買うみたいな、お金ありきで生活をしていました。山に行ったら水もきれいだし、タダで取ってこられて、生きるのに必要なものが山の中にあるなと思ったんです。
一方で全国の山村のように過疎や高齢化の問題がありました。若い人が街の方へ仕事を求めて山を下りて行って、地域のお年寄りが身を寄せ合いながら暮らしている様子を見て、若い人が下りていくのはなぜなのか、実際に行って考えたいと思いました。

転職・地域おこし協力隊という道、その活動

生意気な話ですけど、会社に入る時から、今後のマーケットはアジアだと思っていて、20代のうちに中国に行ける見込みがあるか、ないなら転職するか、と考えていたんです。だから、2年で辞めるということにためらいはありませんでした。
それに、自分の進路は、頭で考えて決めるものじゃないと思いました。打算的に生きていけるタイプでもないし、自分が感じたことで動いた方がいいのかなと。山小屋で感じたことを実行しようと思いました。親からは反対されましたけどね。若気の至りです。
そして、地域おこし協力隊に着任し、地域の集落の中に住んで、地域の人たちを支援しました。田んぼの手入れ、草刈り、木を切る手伝い、大鳥は真冬には雪が3メートル積もるところなので、雪下ろし、あとは地域のイベントや行事の段取りの手伝いがベースでした。
ただ、地域おこし協力隊の任期は3年なので、それが終わった後には自分の足で生きていかなきゃいけないなと思って、ブログを書いて広告収入を得たり、ワークショップをしたりして、小銭稼ぎをしていました。お金を稼ぐ練習です。全然うまくいかなかったですけどね(笑)時間かけてるわりに稼げないなと。

地域おこし協力隊の任期が終わって

山形にせっかくきて、自分の目的である山の暮らしを体験するのに、到底3年間ではできないと思いました。本当に地域の人達から恩を受けて生かされていて。普段から野菜や山菜やキノコを御裾分けしてもらうし、仕事を振ってもらうし。
熊狩りで命を助けてもらったこともあります。1年目の冬に狩猟免許を取って、次の春に熊狩りに出たら滑落したんです。もうあと何メートルか落ちたら死んでいたというところで助けてもらって。
ついこのあいだも雪崩に打たれましたし、山の暮らしではまだまだだなと思います。

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地域の人との信頼関係

何が信頼関係なのかもわからないので最初は苦労もしました。住む人の信頼関係のベースと、仕事をする人・通う人の信頼関係のベースって違うと思うんです。通う人は約束は守るとか、丁寧にとか、お金を払うとかそういうことが大事ですよね。暮らす人は、それに加えて、日頃から何をしているか見られます。朝ちゃんと起きるとか、どんなに小さい約束でも守るとか、日々何かをやり続ける背中を見せ続けること。それが大切だと思います。

今後への想い

地域で何とかしてバトンを繋いでいければと思っています。私は「東北」というくくりではどうしようもないと思いますが、自分がいる地域が続いていくようにしたいですね。当たり前のようだけどすごく難しい事です。 
あと個人的には、熊狩りに行ったときに、ちゃんと足しになりたいですね。

来場者へのメッセージ

もし、僻地で起業したいひとがいたら、第三次産業をおすすめします。一次産業は地域の人が中心になって活動しているので、付加価値はなかなかわかりにくいところです。地域の人たちが手を付けていないところからやった方がいいです。
それから、東北はいいところです。メシがうまい。水がきれいだし、雪は大変だけど恵みを与えられます。

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転載元:東北シゴト創造大学
https://touhoku-shigoto.jp/

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